循環小数の不思議 【弁護士 大前】
こんにちは 弁護士の大前です(*´▽`*)
債務整理案件を取り扱っていると,数字と格闘することが多くなります。
電卓を叩いていて,たまに「循環小数」に出会うと,
四葉のクローバーを見つけた時に近い気持ち……にまではならないですが
「珍しいものに出会った」気持ちにはなります(*^_^*)
唐突ですが,「珍しいもの」の写真です 笑
庭師さん,粋なお仕事をされています ( *´艸`)
循環小数の話に戻して…
循環小数というのは,同じ数字が延々続くという,あれです。
電卓で「1÷3」と入力すると,この写真のように延々と「3」が続きます。
延々と3が続くので,文字的には「0.3」と表した…はずです…
中学時代のある日,数学のY先生は突然黒板に以下のような数式を書きました。
「0.9 = 1」
そしてこう言いました。
「この数式は正しいですか?」
循環小数を習いたての私は「そんなわけあるか!」と心の中で叫びました。
だって,「0.9」はあくまで「限りなく1に近い数字」であって,1であるはずがありません。
「0.9 ≠ 1」です!!
だって, カニカマは,あくまで「カニに似たカマボコ」であって,「カニ」ではありません。
カニカマはそこまでカニに似ているわけじゃないというご意見は真摯に受け止めます(-_-)
話を戻して…
どう考えても,「0.9 = 1」にはなり得ません。
しかし,Y先生は,「0.9 = 1」だと言い張りました。
そしてY先生は続けます。
「1÷3はいくつですか?」
答えはもちろん,「0.3」です。循環小数を習いたての私は得意げです 笑
「0.3×3はいくつですか?」
それはもちろん,「0.9」です。やっぱり私は得意げです 笑
「1÷3は分数で表すとどうなりますか?」
ここで私は思います。もう中学生だぞ,分数くらい分かる!「1/3」でしょう!
簡単すぎる問題を出された私は少し不機嫌です 笑
「では,1/3×3はいくつですか?」
私は鼻で笑いました。
それくらい分かるぞ。答えは「1」だ!
こんな簡単な問題を解けないとでも思いましたか,Y先生!
と不敵な笑みを浮かべたのも束の間,私の笑顔は一瞬で消え去りました。
…あれ!? いつの間にか「0.9=1」に!?
分かりません…
いや,個々の理屈は分かるのですが,なぜこのような現象が起きるのか…
当時の私はたいそう感心しましたし,このブログを書いている今の私も感動しています。
一体どっちが正解なんだと考えても埒が明かないので…
0.9=1も,0.9≠1も,どちらも正解だと思うことにしました。
一般的に,「明確な正解がある」と言われている数学の式がそう言っているのですから!
考えるのが面倒くさくなったわけではありません。断じて違います。
一方で,法解釈は「明確な正解はない」と言われることも少なくありません。
確かに,事実の評価を変えれば,結論がガラッと変わってしまいます。
だとすると,法律の世界では,「どの場合にどの正解を使うか」が大切なのではないでしょうか。
「0.9≠1」とすべき場面で,
「誤魔化そうと思えば,少しの誤差くらい何とかなるだろう!」
と,「0.9=1」にしてしまうと,依頼者の方に不利益を与えかねません。
逆に,「0.9=1」とすべき場面で「0.9≠1」に無意味にこだわれば,
何の利益も生まないのにダラダラと無駄な時間ばかりが過ぎてしまいます。
「見極めとメリハリが大事」
だと,この事務所で色々な人に教えられました。
どの正解を使うのが最善なのか,常に意識しながら依頼者の方と向き合っていきたいです(*^^*)