NEWS

養育費の未払いの問題について(民事執行法が改正されました!)【弁護士 山本】

皆様,こんにちは。

急に寒くなってきて,体調管理の気を付けなければといった季節になってきましたね。

弁護士の山本です。

先日,少し足を延ばして,明石海峡大橋や明石焼き(玉子焼き)を食べに出かけてきました。

私は,出かける時には読み物を持っていくのですが,
今回持って行った本は,「改正民事執行法における新たな運用と実務」です。

(明石市では,養育費の未払い問題や立替制度を独自に作る等,離婚後の養育費等様々な問題に取り組む市町村で有名ですので,未払い養育費について法改正を学ぶのにもよい機会かと思いました。)

弁護士が入った離婚事件では,調停条項や公正証書にて,養育費の金額を定めることが多くあります。

しかし,残念ながら,全体としてみると,厚生労働省での平成28年度全国ひとり親世帯等調査によれば,母子世帯の養育費の支払いを受けているのは,24.3%であるとの数字が出されており,子供のための養育費が十分に支払われていない現状が見えてきます。

養育費の支払いを受けられないことによって,子供の貧困を招く原因となるため,福祉行政や司法でも履行確保への取り組みが必要であるとの方針が示されています。

令和2年6月には,法務省においても,養育費の確保のための支援に関するタスクフォースが設置されるなど履行確保に向けての取り組みがなされています。

書籍では,令和2年4月1日から施行された改正民事執行法によって,

① 財産開示手続をより利用しやすく実効的を確保するために
 ・財産開示手続の申立権者について,債務名義の種類が拡張される等,財産開示手続が充実されることになりました。
 ・財産開示手続への不出頭や虚偽陳述に対して6月以下の懲役又は50万円以下の罰金と罰則の強化が図られました。

② 財産の情報を取得するために,第三者から債務者財産に関する情報取得制度が新設され,
・不動産に関する情報取得の申立て
・給与に係る情報取得の申立て
・預貯金にかかる情報取得の申立て
など,債務者の財産に関する情報取得方法が整備されることになりました。

弁護士の立場としても,既に債務名義(調停条項や公正証書)がある事案については,令和2年4月1日から施行された改正民事執行法での財産開示手続の拡充や第三者からの情報取得手続制度を利用していくことで,養育費の履行確保のために事件の解決に繋げていければといいですね。

新しい法制度を利用して,現在の社会的な問題に取り組んでいくことができることも法律事務所での仕事の魅力なのかもしれません。

紛争解決に取り組みたいと熱い気持ちをお持ちの方は,ぜひエントリーしてください。きっとやりがいのある仕事を見つけていけると思っています。

では,寒くなってきた季節ですが,お体を大切に。
10月が皆さまにとってよい月となりますように。